妙に暑いこの1日。

10「遅いっすよ、フリオニール!」

2「ああ、まあ…。多分、すぐ終わるから。」
曖昧な返事を返すと、暑いー!とティーダが叫ぶ声があがった。


俺としても早くこんな蒸し風呂状態の部屋から抜け出したいのだが…

これ、どうやって着るんだろう?

窓とカーテンを締め切った部屋には俺しかいないし、ティーダは普通のTシャツだから着方なんてきいてもわからないだろうなと絶望した。
窓をドンドンと叩きながらティーダはずっと叫んでいる。

そして急に窓を叩く音が止まった。

怒ってしまったのかと思い腰に巻いていた帯を結わえる作業を止めてカーテンに手をかけた。

その瞬間。


後ろの襖が開いた。
?「どうしたの?フリオニール。ティーダが心配してるよ?」

待て待て待て待て!

明らかに女性…しかも知っている女性の声が聞こえた。

2「な、な、なんでもない。と、とにかくここから出てくれないかっ…!」

そして、その女性は気がついたのか
?「まさかフリオニール、浴衣着られないの?!」
2「い、いや、まさかそんなこと…。」
?「帯の結び方違うし。
どれ、やってあげるからね。こっち向いて…?」
2「ち、ちょっと待てったら!」

ほぼ強制的にぐいっと後ろを向かされる

2「やめろよ、ソラ!」
14「大丈夫、痛くないから。」

綺麗な浴衣を着たソラは汗を拭うと着付けに取りかかった。

彼女のスピードには目を見張るものがあった。せっせと動きまわり2分も経たないうちに着付けを終わらせてしまった。

14「はい、完成!」
2「早いな…。ありがとう、おかげでたすかったよ。」
14「無理やりしちゃってゴメンね…。」
うつむきがちにそう言った。

2「俺…誰に聞けばいいかわからなかった。でもソラが来てくれたから…。本当にありがとうな。」
14「元といえばティーダだし…でも何で私だったんだろう?セシルとかクラウドとかいたのに…。」
2「ティーダ待たせているんだった…!
ゴメン、今度…。」
14「?」
2「こ、こっ今度はゆっくり話そう!」

14「…うん!」

ソラは俺に手を振った。
俺も振り返してティーダがいる場所へと走った。


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2「ゴメンなティーダ、遅くなった。」
10「本当待ったぞ、フリオニール!
ていうか、一人でよく浴衣着られたっすね。オレ着られないのにー。」
2「え?ソラに着付けてもらったぞ?」

10「フリオニール?太陽の熱にでもやられたんすか?」

2「よこしたのはティーダだって本人が…」
10「フリオニール聞いてないんすか!?」
2「な、なにを…?」

10「ソラは熱中症で倒れてるのが見つかって今病院で手当て受けてるっす。」




これは酷く暑く、蝉の声がなり響くかなり遠いある日の昼下がりの物語。
14/07/13 13:57更新 / 腐ぽーしょん
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