俺の夢。
それは、「のばら咲く世界」。
とても幼い、子供のような夢だけど、皆はいい夢だなって言ってくれた。応援してくれたり、協力してくれたりもした。
……あれだけ手伝ってもらったんだ。これ位、自分でなんとかしなくては。
「火球よ…!」
相手を牽制する為の、ファイア。
その内一発が命中した。
敵のひび割れた呻き声が聴こえた。その直後、
「当たれっ……はぁあ!!」
相手のストレートアロー。間一髪、避けられた。
イミテーションとは言え自分と戦うのは、簡単なようでいて案外難しい。
……が、その分参考になる部分も多い。
「この技はこうした方が当たるだろう」だとか、「この時こうすればよりダメージを与えられる」だとかいうことが客観的な視点で分かるからだ。
「隙有りっ…逃がすか!!!」
リードアックス。そこから、至近距離でのストレートアローに繋げる。
「お返しだっ!!…当たれっ…はぁあ!!」
必殺の威力を持ったー撃が、イミテーションの胸に命中し、ガラスで出来た花のように散っていった。
「ふぅ……終わったな。…そろそろ聖域に戻るとするか……」
今日の成果はなかなかだな。このドロップアイテムなんか見せたら皆きっと驚くぞ。
「クリスタル…どうやったら手に入るんだろうか」
クラウドなんかはもう手に入れたようだが、自分はまだだ。焦りがないと言えば嘘になる。
「やはり…皇帝を倒さないことには見つからないんだろうか…」
俺の宿敵、皇帝。
他人を自分の駒としか考えていない、悪逆非道な奴だ。
………貴様にだけは、絶対に負けないぞ。
皆の為、夢の為、何より、この戦いを終わらせる為に。
「必ず…倒してみせる」
そう胸に改めて誓い、遠くから自身を呼ぶ声に「今行く!」とだけ応え、その場を後にした。
一クリスタルを手にすることが、コスモスの消滅を意味するとも知らずに。
段々と小さくなって行く鎧の音と足音だけが、取り残され響き渡った。
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