「俺は…許された存在、なのか?」
小さく呟かれた言葉だったが、隣にいたスコールは聞き逃さなかった。だが、わざと聞こえなかった振りをする。
「…何か言ったか?」
こう言っても返して来る様なら相当な事なのだろうと思ったが、今回はそうでも無いだろうと思ったのだ。だから、もう仲間の所へ帰ろうと思ったのだが。
「俺は、こちらに居て良かったんだろうか…」
眩しい程の金髪に彩られた普段は無表情な顔が、今は他人が見ても分かる位暗く沈んでいた。
…クラウド
amp;#8226;ストライフ。
俺と似たようでいて、全く違う存在。
確かに、何かと道に迷っている奴だったが、つい最近吹っ切れた筈だ。…何を今更、と思った。
「…あんたは少なくとも、今まで此方側でやって来たんだろう?…今更何を迷ってる?」
そう言うとー度頷き、
「ああ…。だが、俺にはまだ分からないんだ。…俺の存在理由や、本当の意志が…」
そんな事か、と思った。
だが、“そんな事”でも、迷える事が羨ましくも思えた。
彼がこうして迷うのは何度目になるのだろうか。
…俺は、ー体どの位、迷う事を許されただろうか。
「SeeDは何故と問う無かれ」
そう教えられ育って来た俺とは比べ物にもならないのだろう。
…「迷う」事は、「強い」ということだと俺は思う。
迷わないのは、自分には出来ないと勝手に決め付け、逃げているから。
だから、それだけ迷えるのは、心の強さあっての事だと俺は思う。
それに、クラウドがコスモスに来たのは正しいとさえ思う。
何より、クラウドは仲間に対して優しいから。仲間が危機に瀕したら、直ぐ駆け付けているのを知っているから。
…だから、別に迷う必要ないのに…とスコールは思った。
…あくまで自論に過ぎないが。
そうしてふと、思い付いた事があった。
「…なぁ、あんたには元の世界の記憶はあるか?」
「…?ああ……だが、それが?」
「俺には、殆ど無いんだ」
クラウドは、静かに…だが、疑問の色を、その不思議な色をした碧瞳に浮かべて、こちらを見ていた。
「…SeeDは何故と問う無かれ」
「?」
「そう教えられて育った記憶はある」
…そして、ー人でただひたすらに泣いていた事も。
「…元の世界の記憶が、間違っていると言いたい訳ではない」
すうっ、と息を吸う。
「だが、俺はあんたが羨ましいし、迷わない俺より迷うあんたの方が強いと素直に思
う。」
「いや、俺は…」
「それに…」
「それに?」
スコールは少し微笑んだ。
「…あんたはー人じゃない。俺達がいる。そして、それこそが…」
「それ、こそが?」
「…そうだ。今の俺達と今のあんた、その存在こそが、あんたが許されているという証拠だ。…あんたがもし、存存自体許されていないのなら、先ずここにあんたがいないし、あんたがいなければそもそも俺達は今あんたの仲間じゃないだろう?」
「そーッスよ!あんまりウジウジ考えんなって」
「スコールだけじゃなくて、俺もいるからなー!!」
「そうだぜ?ー人で悩むより、皆で考えた方がきっと良い答え見つかるしさ」
「そうだ。何かあるなら言つてくれ。ー人で解決出来ないのなら、私達がいる。」
「僕らも協力するからね!ね、ティナ?」
「うん。クラウドには恩返ししたいから。何かあったら話、聞くよ?」
「僕でいいなら相談にも乗るからね?遠慮しないで話してよ。」
「俺も話を聞<位ならい<らでも出来るからな。」
「…ほら、な?言った通りだろう。…ー人で迷う必要なんか無いんだ。」
ティーダ、バッツ、ジタン、ウォーリア、オニオン、ティナ、セシル、フリオニール、スコール
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