束の間

モブ退治で張り切り過ぎたかな。
さすがのオレも、ちょっと疲れちゃった。

皆はご飯を食べているようだけど、
さっさと宿の部屋に戻ってベッドにゴロリと横になる。

前衛にいたバッシュ、カッコいいな。オレもあんな風に武器が使えたら・・
そうだ!今度教えてもらおう。

その時、ドアをノックする音がして、バッシュの声が聞こえてきた。

「ヴァン、入っていいかい?」

「どうぞー」

オレはちょっと間の抜けた声で答えた。

バッシュは心配そうにオレの顔を見る。

「具合でも悪いのか?ご飯は?」

「うん・・なんか疲れて眠いんだ。ご飯いらないや」

「少しは食べないと、体が持たないぞ。
ここに置いておくから、好きな時に食べなさい。」

バッシュはそう言うと、何やらのっているトレーを
横のテーブルに置いてくれた。

スープ、飲み物、パンと軽いおかず。

わざわざ持ってきてくれたんだ。バッシュってやっぱり優しいよな。

部屋を出ようとする彼に、オレは後ろから声をかけた。

「バッシュ、ありがとう」

振り向いた彼は

「どういたしまして。ちゃんと食べるんだぞ。」

と、ちょっとイタズラっぽい笑みを浮かべた。

バッシュが扉の向こうに出ていくのを見送りながら、
何だかオレは嬉しくなった。

・・うん、これだけでも食べてしまおう。
24/04/10 01:25更新 / ちゃか
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