─────終わった、暗闇の雲との戦いが。その瞬間光に包まれて、気付いた時には何故かイングズに抱き上げられていた。
その腕の中から逃れようとしたけど、うまく力が入らない。こっちを見下ろす間近の顔は、いつもよりずっと穏やかに微笑んでいた。
それにつられて思わず笑い返したけど、次の瞬間にはサラ姫の呼び声が─────
咄嗟に身をよじって抱き上げられていた両腕から離れ降りる。
サラ姫は真っ先にイングズに駆け寄って手を取り、涙を浮かべて労っていた。
それに応えてイングズも何か言葉を掛けていた。
・・・それを気に掛けないようにオレは協力してくれた人々と喜びの言葉を交わす。
─────それぞれの人達をインビンシブルで送り届け、オレ達4人とサラ姫はウル村で解散する事になった時・・・
「今はみんなそれぞれゆっくり休んで。─────近い内に、光の戦士達の凱旋パーティーをサスーン城で開くから、きっと来て頂戴ね」
サラ姫はそう言って先に行くけど、イングズは何か言いたげにオレを見つめている。
「・・・・・・」
「─────さっさと行けよ、サラ姫先に行かせてどうすんだよ」
「あぁ・・・では、な」
アイツに逢うのはもう、城でのパーティーを最後にしとくか。せめて、その時に─────
パーティー当日・・・普段着で行ってやった。アルクゥとレフィアはめかし込んでたけど。
─────遠目にイングズも正装してるのが分かった。始めの内、4人それぞれ色んな人に囲まれたけど、その内愛想のいいレフィアとアルクゥ、イングズにばかり人が集中してく。
無愛想に対応してたオレの周りには、人が寄り付かなくなった。─────好都合だ、他の奴なんかに興味ない。今、本当に話したい相手は・・・
サラ姫は元より、女性にばかり囲まれてる。近くに居るはずなのに、遠く感じる。・・・とても。
忘れられたらな、いっその事。
そういえば、調子に乗って酒に酔っ払ってる人も出て来たな。こんなつまらない気分でいるくらいなら、オレも酒飲んではっちゃけちまおうか。大人はよくそうしてるしな。
酒は大人になってから飲む物らしいけど、光の戦士全うしてきたオレだってもう大人だろ。誰も文句言えないはずだ。
・・・手近なテーブルにあったボトルに手を出して、中身をあおる。
─────うわ、喉が焼けるみたいだ。間違いなく、ただのジュースじゃない。
途中咳き込みそうになっても何とか我慢して、半分以上あった中身を飲み干した。
・・・途端に酔いが回ってきたのか、頭がクラクラする。全然、楽しい気分にならない。ムカムカする、気持ち悪い。
まだ、大人じゃなかったって事か。光の戦士やってきた割には、男らしくなってないなオレ。
イングズみたいになるの、憧れてたけど結局─────強くなんて、なれなかったのか。心も、体も。
欲しいものが、目の前にあるのに、奪う気力さえ・・・
─────目の、前?? いつの間にかイングズの心配そうな眼差しが、間近にあった。
何故か、仰向けに抱き支えられている。オレが倒れちまった所に、すぐ駆け付けてくれたのか?
視界が、ぼやけてゆく。
あぁ・・・もっと見ていたいのに。その吸い込まれそうな蒼い瞳と、無駄に整ったキレイな顔を─────
熱いな・・・体。身に付けてるもの、全部脱ぎたい。
脱いじまおう、目の前に誰が居ても。後ろに結んでたオレの髪も、いつの間にかほどかれてんだし、いいよな。
─────あれ、脱いだら脱いだで寒いな。
いいや、目の前に居る奴に、抱き付いちまお
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