口実2
いつも一緒にいようがいまいが
そんなことは関係ない
兄妹みたいに育っても
兄妹になるわけじゃない
兄妹のように近いだけの
ただの人間だ
兄妹のようなということを
羨ましいと言う奴らもいれば
不気味だという奴もいる
マザーの存在があってこその関係
それが不思議なものなのだと気づいたのは
ここに来て、他の奴らを見てから
他の奴らの 自分たちを見つめる態度を見てから
それがどれほどのことなのか
それも不明なまま
今は自分のなすべきことを
為そうと前に進むだけ
そう思うことが
自分の本心に気づかずに済む唯一の方法
------------------------------------
洞を見つけて、覗き込む
焚き火の匂いがして、そのまま近づくと
ちょうど火を囲むようにして
マキナとレムが寄り添っていた
正直あまりいい気分でもないが
無事ならいい
「俺だ、無事か」
ずかずかと二人の空間に割ってはいる
「ああ、すまない」
マキナが保護者のように礼を言ってくる
レムも眠っていたのか、まぶたが
トロンとしていたが
すぐに事態を飲み込んだか
こちらを見て微笑んでくる
「・・・お前たちだけか?」
「あれ?ケイトは?」
レムは見回すが視界にはいないようだ
「さっき、奥を見てくるといったままだな
探してこよう」
マキナが腰を上げようとするが
「かまわない、負傷しているんだろう
これを使って準備しておいてくれ
ケイトが戻り次第、キングと合流する。」
そういって、二人にポーションを渡し
ケイトを探しに奥のほうに向かう
洞の中はかび臭いところもあるが
ひんやりとしていて、意外に明るいところも多い
少し行くと、ケイトがうずくまっていた
「ケイト?どうかしたか?」
声をかけると、ものすごい驚いた様子で
ビクっと肩を震わせたかと思うと
あろうことか銃をこちらに構えようとした
反射的に懐に入り、銃を押さえ込む
「うわぁああった!! ご。 ごめん!!」
はとが豆鉄砲・・そんな顔をしながら
アタフタしては目を丸くする
「お前、危ない奴だな 用心するのはいいが
相手を良く見ろ
俺でなければ当たってるかもしれないだろう」
困った奴だな、一体何にそんなに驚くことが・・
「キ、キングが、来るって思ってて ・・・
あんただって、思わなかったのに 声がしたから
幻聴かって思って・・」
「別にありうるだろう、キングは同行していたナインが
今離脱中だからその場で待機している。
これから合流するから、俺がお前たちを集めろと
指示されただけだ。」
「・・・マキナと、レム・・は?」
「・・無事だが、なんだ」
そう言って、少し思った
もしかして・・・
「いや・・・その・・・邪魔かな〜って」
もじもじと、うつむいている
俺でもあの空間に入るのは少々気まずい
こいつは感受性の強いやつだ
きっと気を遣った結果、奥のほうに引っ込んだ
そんなところだろう
「・・・何かあったのか?」
「うん・・いや・・・その・・・」
ちょっと頬を赤らめている
きっと、二人にあてられたんだろうな
頭を撫でてやる
「気にするな、俺でもあの空間は気まずい」
笑ってやると
安心したように、顔を上げて
「だ、だよね?」
と、ようやく笑顔を見せた
「良かった〜 なんかすごい居づらくてさ!!」
俺がむしろ安心した
表情がコロコロ変わるこいつは
笑うとなんかホッとさせられる
「さ、戻るぞ、キングたちが待ってる」
「うん!」
そういうと、元気を取り戻したように
自分の後ろをついてきた
少しだけ、自分の背中が温まったような
そんな気になった
「ごめん」
いきなり、後ろでそんな言葉が聞こえたが
振り返ろうとすると、彼女が走り出して自分を
追い抜いていった
まぁ、今頃謝ろうとしたんだろう
この前チビ呼ばわりしたことを・・・
-----------------------------------------
すぐに魔導院に戻るや否や
マザーのところへナインをつれていくことになった
一応負傷したらしいけど
キングとマキナが二人でナインの肩を貸して
つれて歩いていく
あたしらはいいかな・・
エイトとレムにつぶやくと
「わたしは、マキナを待ってる」
と、レムは魔法局の入り口で待つらしい
自分とエイトはリフレッシュルームに行くことにした
「お腹すいたー」
そんな声を上げながら、自分はフロアに上がるとすぐ
カウンターにかけより何を頼むか考える
エイトは自分を覗き込んでから
「何か適当に食うものと飲むものを頼んでもらえるか?」
と言って、席を取って座ってくれる
自分は食事を受け取ると、この際だからと
好きなものをたくさん頼んでみた
「よく食うな。」
一瞬あきれたように話すが
エイトがもう怒ってないみたいで、少しホッとしていた
食事ついでに、ちょっと聞いてみたくなって
「ねぇ、エイト あんたさ マキナとレムってどう思う?」
グラスに注がれたジュースに口をつけたまま
エイトが一瞬固まる
「・・・・仲はいいな」
「そんだけ?」
「いや、十分言いたいことはわかるが・・」
「やっぱさ、付き合っちゃったりしてんのかな・・」
あたしとしても、あの瞬間をどうしても
見てしまったものとして
ちょっとでいいから、誰かに
同意して欲しかったというか・・・
「ここは、戦場だろ」
少し髪を掻きながら、照れくさそうに言うけれど
そう。戦場
「・・・そうだよねぇ」
「でも、だからこそ、好きな相手の一番近くに
いたいと思うのかもしれないな」
エイトがそんなこと言うなんて・・
意外だと思ったけど、こいつけっこう大人なんじゃないのかと
思ってしまった
じっと顔を見ると
真っ赤になって、視線をそらされた
「そっかぁ・・マキナは本気でレムを
想ってるんだろうなぁ・・」
あの、二人のキスシーンが
頭の中をかすめる
「キスって、それぐらい大事じゃないとしないよね?」
そう言った瞬間
パン!!と音がして
エイトの持っていたグラスが砕け散った
「あああああ 何やってんのよぉぉぉ!!!?」
「悪い!!」
あたしたちは顔を見合わせずに
グラスの破片を拾い集める
「ああ、いいから、いいから」
リフレッシュルームのおじさんが
ほうきとちりとりを持ってやってくる
エイトは
「すみません」
と、頭を下げていたが
あたしは彼の動揺ぶりに
一瞬
こいつも誰かとキスしたことがあるのかな
なんて一瞬
想像してしまった
-----------------------------------
「白虎兵には気をつけなさいね」
朱雀の女性武官に、クイーンとセブンが
そう諭されたそうだ
ここは教室、さっきクイーンに
「女子生徒は、残ってもらえませんか?」
といわれ、教室に残って話を聞いていた
理由は
白虎兵は、女に飢えた者が普通にいる
戦場で女性兵士というものは、あまりみかけない
まして敵兵ともなれば、情けなどかけず
捕らえられて玩ばれるのは常だそうだ
朱雀の女性兵においては
戦場でそういった悲惨な遺体を見ることもあるそうだ
「わたくし達の誇りまで貪るとは、卑劣な・・」
クイーンがその話をしながら感極まっていた
「以前もあったが、白虎は捕虜を捕らないことが多い
輪姦されたとしても、生きて戻れる保障はない
しかし、自分達はマザーの力で離脱から戻るのであれば
その体に何をされているのか
相手が生きていれば覚えてしまうだろう」
淡々と、しかし静かに怒りをはらんだセブンの言葉に
デュースとレムは、震えて声も出ないらしい
その話を聞きながら、サイスは無言で舌打ちした
「戦場では生き残ることが重要ではあるが
わたしたちは、そのほかにも守るものも
あるということだ」
セブンは続けてそうつぶやく
いつもの能天気なシンクでさえ、ここでは無言だった
「わたし、そんな風にされたあと
生きていく自信、戦い続ける自信がありません・・」
デュースがうつむいてそう答える
そして、自分はというと
下腹部に鈍い痛みを感じるくらい
想像だけで気分が悪くなってしまっていた
どうしよう・・・怖い
ちょっとだけ、自分がそう
知らない男に
触れられてしまうことが
その他の朱雀兵と違うのだ
自分達は、離脱しても再び立ち上がる
そのことが逆に怖いのだ
教室の片隅で、そんな話をしていると
トレイとエイトが入ってきた
男子が入ってきたことで、
その話をやめようとしたのに
シンクが暴投した
「トレイ〜〜〜」
そこにいるみんなが一瞬しまったという顔をしたけど
シンクは、いつもより一生懸命という具合で
たどたどしくも、彼らに話をして聞かせた
トレイはその話を聞いて、エイトと顔を見合わせ
そしてゆっくりと語り始める
「女性としての尊厳ですね。それは大切なことではありませんか」
クイーンが一瞬明るくなって、胸をなでおろし
こう続ける
「私達も、決して子供ではありません、
ただ殺しあえばいい、という獣でもありません。
自分達の戦いには、理性が伴わなければならないのでは
ないでしょうか。」
彼ら二人にそれらを受け入れられたことが
たまらなく嬉しかったのだろう
「俺も、たとえそのことで、この中の誰かが
いや、朱雀の誰かが そんな目に遭ったら
記憶が残らないように、絶対にそいつの仇を
とってやる。」
エイトもそう言って微笑んでくれて
安心させてくれた
二人は力強く、それでも優しく語ってくれた
「そうだね、マキナなんか
レムがそんな目にあってたら、白虎ごと殲滅するんじゃない?」
あたしは、レムを見て少し想像してみたが
レムは苦笑いしたけれど、何か考えているような
表情をした
「マキナだけではありませんよ、キングやナインでも
あなた達の仇ならとるとおもいます。」
「そう?」
トレイの発言に
あたしはまさかという声を上げたが
「もう、俺達もそこまで子供じゃないんだ」
エイトが真面目な顔をして、あたしを見つめた
今までされたことがない顔で
それはあたしの胸に残った
子供じゃない という言葉が
胸に深く響く
「でもさ〜女の子は損だよね〜
男の子は心配しなくていいことじゃない?
あたし達は死んでミッション失敗もしちゃいけないし
白虎の連中からも女の子の体を守らないといけないの?」
シンクは後からそんなことを言って
口を尖らせていたが
あたしは少し気が楽になった気がしていた
自分の他にもそれを守ろうとしてくれる奴がいるのだ
そんなことは関係ない
兄妹みたいに育っても
兄妹になるわけじゃない
兄妹のように近いだけの
ただの人間だ
兄妹のようなということを
羨ましいと言う奴らもいれば
不気味だという奴もいる
マザーの存在があってこその関係
それが不思議なものなのだと気づいたのは
ここに来て、他の奴らを見てから
他の奴らの 自分たちを見つめる態度を見てから
それがどれほどのことなのか
それも不明なまま
今は自分のなすべきことを
為そうと前に進むだけ
そう思うことが
自分の本心に気づかずに済む唯一の方法
------------------------------------
洞を見つけて、覗き込む
焚き火の匂いがして、そのまま近づくと
ちょうど火を囲むようにして
マキナとレムが寄り添っていた
正直あまりいい気分でもないが
無事ならいい
「俺だ、無事か」
ずかずかと二人の空間に割ってはいる
「ああ、すまない」
マキナが保護者のように礼を言ってくる
レムも眠っていたのか、まぶたが
トロンとしていたが
すぐに事態を飲み込んだか
こちらを見て微笑んでくる
「・・・お前たちだけか?」
「あれ?ケイトは?」
レムは見回すが視界にはいないようだ
「さっき、奥を見てくるといったままだな
探してこよう」
マキナが腰を上げようとするが
「かまわない、負傷しているんだろう
これを使って準備しておいてくれ
ケイトが戻り次第、キングと合流する。」
そういって、二人にポーションを渡し
ケイトを探しに奥のほうに向かう
洞の中はかび臭いところもあるが
ひんやりとしていて、意外に明るいところも多い
少し行くと、ケイトがうずくまっていた
「ケイト?どうかしたか?」
声をかけると、ものすごい驚いた様子で
ビクっと肩を震わせたかと思うと
あろうことか銃をこちらに構えようとした
反射的に懐に入り、銃を押さえ込む
「うわぁああった!! ご。 ごめん!!」
はとが豆鉄砲・・そんな顔をしながら
アタフタしては目を丸くする
「お前、危ない奴だな 用心するのはいいが
相手を良く見ろ
俺でなければ当たってるかもしれないだろう」
困った奴だな、一体何にそんなに驚くことが・・
「キ、キングが、来るって思ってて ・・・
あんただって、思わなかったのに 声がしたから
幻聴かって思って・・」
「別にありうるだろう、キングは同行していたナインが
今離脱中だからその場で待機している。
これから合流するから、俺がお前たちを集めろと
指示されただけだ。」
「・・・マキナと、レム・・は?」
「・・無事だが、なんだ」
そう言って、少し思った
もしかして・・・
「いや・・・その・・・邪魔かな〜って」
もじもじと、うつむいている
俺でもあの空間に入るのは少々気まずい
こいつは感受性の強いやつだ
きっと気を遣った結果、奥のほうに引っ込んだ
そんなところだろう
「・・・何かあったのか?」
「うん・・いや・・・その・・・」
ちょっと頬を赤らめている
きっと、二人にあてられたんだろうな
頭を撫でてやる
「気にするな、俺でもあの空間は気まずい」
笑ってやると
安心したように、顔を上げて
「だ、だよね?」
と、ようやく笑顔を見せた
「良かった〜 なんかすごい居づらくてさ!!」
俺がむしろ安心した
表情がコロコロ変わるこいつは
笑うとなんかホッとさせられる
「さ、戻るぞ、キングたちが待ってる」
「うん!」
そういうと、元気を取り戻したように
自分の後ろをついてきた
少しだけ、自分の背中が温まったような
そんな気になった
「ごめん」
いきなり、後ろでそんな言葉が聞こえたが
振り返ろうとすると、彼女が走り出して自分を
追い抜いていった
まぁ、今頃謝ろうとしたんだろう
この前チビ呼ばわりしたことを・・・
-----------------------------------------
すぐに魔導院に戻るや否や
マザーのところへナインをつれていくことになった
一応負傷したらしいけど
キングとマキナが二人でナインの肩を貸して
つれて歩いていく
あたしらはいいかな・・
エイトとレムにつぶやくと
「わたしは、マキナを待ってる」
と、レムは魔法局の入り口で待つらしい
自分とエイトはリフレッシュルームに行くことにした
「お腹すいたー」
そんな声を上げながら、自分はフロアに上がるとすぐ
カウンターにかけより何を頼むか考える
エイトは自分を覗き込んでから
「何か適当に食うものと飲むものを頼んでもらえるか?」
と言って、席を取って座ってくれる
自分は食事を受け取ると、この際だからと
好きなものをたくさん頼んでみた
「よく食うな。」
一瞬あきれたように話すが
エイトがもう怒ってないみたいで、少しホッとしていた
食事ついでに、ちょっと聞いてみたくなって
「ねぇ、エイト あんたさ マキナとレムってどう思う?」
グラスに注がれたジュースに口をつけたまま
エイトが一瞬固まる
「・・・・仲はいいな」
「そんだけ?」
「いや、十分言いたいことはわかるが・・」
「やっぱさ、付き合っちゃったりしてんのかな・・」
あたしとしても、あの瞬間をどうしても
見てしまったものとして
ちょっとでいいから、誰かに
同意して欲しかったというか・・・
「ここは、戦場だろ」
少し髪を掻きながら、照れくさそうに言うけれど
そう。戦場
「・・・そうだよねぇ」
「でも、だからこそ、好きな相手の一番近くに
いたいと思うのかもしれないな」
エイトがそんなこと言うなんて・・
意外だと思ったけど、こいつけっこう大人なんじゃないのかと
思ってしまった
じっと顔を見ると
真っ赤になって、視線をそらされた
「そっかぁ・・マキナは本気でレムを
想ってるんだろうなぁ・・」
あの、二人のキスシーンが
頭の中をかすめる
「キスって、それぐらい大事じゃないとしないよね?」
そう言った瞬間
パン!!と音がして
エイトの持っていたグラスが砕け散った
「あああああ 何やってんのよぉぉぉ!!!?」
「悪い!!」
あたしたちは顔を見合わせずに
グラスの破片を拾い集める
「ああ、いいから、いいから」
リフレッシュルームのおじさんが
ほうきとちりとりを持ってやってくる
エイトは
「すみません」
と、頭を下げていたが
あたしは彼の動揺ぶりに
一瞬
こいつも誰かとキスしたことがあるのかな
なんて一瞬
想像してしまった
-----------------------------------
「白虎兵には気をつけなさいね」
朱雀の女性武官に、クイーンとセブンが
そう諭されたそうだ
ここは教室、さっきクイーンに
「女子生徒は、残ってもらえませんか?」
といわれ、教室に残って話を聞いていた
理由は
白虎兵は、女に飢えた者が普通にいる
戦場で女性兵士というものは、あまりみかけない
まして敵兵ともなれば、情けなどかけず
捕らえられて玩ばれるのは常だそうだ
朱雀の女性兵においては
戦場でそういった悲惨な遺体を見ることもあるそうだ
「わたくし達の誇りまで貪るとは、卑劣な・・」
クイーンがその話をしながら感極まっていた
「以前もあったが、白虎は捕虜を捕らないことが多い
輪姦されたとしても、生きて戻れる保障はない
しかし、自分達はマザーの力で離脱から戻るのであれば
その体に何をされているのか
相手が生きていれば覚えてしまうだろう」
淡々と、しかし静かに怒りをはらんだセブンの言葉に
デュースとレムは、震えて声も出ないらしい
その話を聞きながら、サイスは無言で舌打ちした
「戦場では生き残ることが重要ではあるが
わたしたちは、そのほかにも守るものも
あるということだ」
セブンは続けてそうつぶやく
いつもの能天気なシンクでさえ、ここでは無言だった
「わたし、そんな風にされたあと
生きていく自信、戦い続ける自信がありません・・」
デュースがうつむいてそう答える
そして、自分はというと
下腹部に鈍い痛みを感じるくらい
想像だけで気分が悪くなってしまっていた
どうしよう・・・怖い
ちょっとだけ、自分がそう
知らない男に
触れられてしまうことが
その他の朱雀兵と違うのだ
自分達は、離脱しても再び立ち上がる
そのことが逆に怖いのだ
教室の片隅で、そんな話をしていると
トレイとエイトが入ってきた
男子が入ってきたことで、
その話をやめようとしたのに
シンクが暴投した
「トレイ〜〜〜」
そこにいるみんなが一瞬しまったという顔をしたけど
シンクは、いつもより一生懸命という具合で
たどたどしくも、彼らに話をして聞かせた
トレイはその話を聞いて、エイトと顔を見合わせ
そしてゆっくりと語り始める
「女性としての尊厳ですね。それは大切なことではありませんか」
クイーンが一瞬明るくなって、胸をなでおろし
こう続ける
「私達も、決して子供ではありません、
ただ殺しあえばいい、という獣でもありません。
自分達の戦いには、理性が伴わなければならないのでは
ないでしょうか。」
彼ら二人にそれらを受け入れられたことが
たまらなく嬉しかったのだろう
「俺も、たとえそのことで、この中の誰かが
いや、朱雀の誰かが そんな目に遭ったら
記憶が残らないように、絶対にそいつの仇を
とってやる。」
エイトもそう言って微笑んでくれて
安心させてくれた
二人は力強く、それでも優しく語ってくれた
「そうだね、マキナなんか
レムがそんな目にあってたら、白虎ごと殲滅するんじゃない?」
あたしは、レムを見て少し想像してみたが
レムは苦笑いしたけれど、何か考えているような
表情をした
「マキナだけではありませんよ、キングやナインでも
あなた達の仇ならとるとおもいます。」
「そう?」
トレイの発言に
あたしはまさかという声を上げたが
「もう、俺達もそこまで子供じゃないんだ」
エイトが真面目な顔をして、あたしを見つめた
今までされたことがない顔で
それはあたしの胸に残った
子供じゃない という言葉が
胸に深く響く
「でもさ〜女の子は損だよね〜
男の子は心配しなくていいことじゃない?
あたし達は死んでミッション失敗もしちゃいけないし
白虎の連中からも女の子の体を守らないといけないの?」
シンクは後からそんなことを言って
口を尖らせていたが
あたしは少し気が楽になった気がしていた
自分の他にもそれを守ろうとしてくれる奴がいるのだ
13/07/06 18:40更新 / 霜月(bruler)