口実1 零式エイト×ケイト
ちょっとだけ
あとちょっとだけ望むことがある
相手に
自分に
そんな大事なことなのかときかれると
正直いつも返答に困る
自分には大事ってだけ
いや
本当は大事なんじゃなくて
そういわないと困るから
困るのは その一言が
あたしにはまだ受け止められないから
-----------------------------------------
あたしとレムとデュースは 中庭にいた
ベンチに座ったレムを
囲むように
あたしはついつい興味で
マキナとの関係をつついていた
レムは
「ただの幼馴染だよ」
と、最初は言っていたけど
問い詰めればいつの間にか口を滑らせ
その恋心を認めていた
「へぇ〜 そんなに大事に想ってたんだね」
あたしはレムの一途さに感心して
デュースなんか
「素敵です!お似合いのお二人ですもの!!」
と、目をきらきらさせて聞いていた
中庭で、そんな話を楽しんでいると
「ケイトは好きな人いないの?」
と、逆にレムにふられてしまった
「え?あたし? いないいない!!」
急に振られて全否定 というか
本当にそこまで意識なんてしてなかった
「そんなに否定しなくっても・・」
苦笑いを浮かべるレム
デュースが
「そうですね、そういえばケイトさん
エイトさんと以前仲良く話してらっしゃい・・」
言いかける
「!!!ないよ!!」
「ないないないない、だってうちらは兄妹みたいな
もんじゃん!! そんなの言われても!!」
「そこまで否定すると、逆に怪しいよ〜?」
「そうですよ、同じクラスじゃなくても
誰かいらっしゃらないのですか?」
「そうだよね、なんか二人はカップルっていうより
よく似た兄妹って感じがするね」
「兄妹?そんな風に見える?」
「わたしから見れば、兄妹みたいに仲いいって
羨ましいけどね」
「それを言えば、わたしとケイトさんも
姉妹ですよね」
そう、うちらは全員姉妹で兄妹だ
誰が弟かってほどじゃないけど
ジャックは弟?
セブンやキングは姉と兄
クイーンも姉かな それいうとトレイも兄?
他は全部タメなイメージ
年も近いし イメージのほうが強いかも
エイト・・・そういえば
あたしに近いイメージかも
小柄でよく動いて
でも
「でも、エイトさんはどちらかというと
寡黙でいらっしゃいますね いつも一人で
鍛錬されていることが多いですし
わたしたちと違って武器も使われません
何か自分に厳しく誓いを持って
戦ってらっしゃるのかもしれませんね」
「そうかなぁ・・・ 」
「たしかにそう見えるね
この前のミッションで見てたけど
すごい動きが素早くて、いつの間にか
敵陣を突破していってて
すごいなって感心しちゃったよ」
「そうなの?」
「あ、でも ケイトもすごく走るの速いね
同じ女の子なのに、いつの間にかずっと
先を走ってて カッコいいなって思うよ」
「そうですね、ケイトさんとエイトさん
お名前もよく似てらっしゃいますしね」
「それ・・この前も誰かに言われたなぁ・・
あんまり嬉しくないんだけど」
「拳で戦うのは怖くないのかなぁ・・」
レムのその言葉は確かに想う
以前エイトが言っていた 拳で戦う理由
倒した相手の命や痛みを自分に遺すため
「ドMじゃないの・・
あたしと目線があんまり変わらないし」
「ケイト、だめだよ
男の人に背のこと言うのは禁句なんだって
マキナが言ってたよ?」
「そうなの?」
「そうですよ、私たちでも傷つくことがあります
背でなくても、他人の身体的特徴は
言っては失礼ですよ!!」
「だって、チビじゃん」
そういうと
頭上でガサガサと音がして
見上げた途端
人影が降ってきた
くるりと猫のように着地したその人は
エイト本人だった
三人ともあまりに驚いて
口をパクパクさせていたけど
「うるさいな、眠れやしない」
と、不機嫌そうにこちらを見る
どうやら木の上で昼ねをしていたらしく
「す、すみません!!」
デュースが平謝りしている
「いいさ、もうそろそろ起きるつもりだった」
「ごめんね、うるさくして」
レムもペコと頭を下げている
エイトはレムに軽く手を振ると
こちらを見て
「・・・チビで悪かったな」
すれ違いざま ぼそりと言われた
あたしはさすがにばつが悪く
エイトが教室に入っていくのを
黙って見送るしかできなかった
その後しばらく、自分はひたすら
レムとデュースの二人に
「なんなのよ!!あいつ!!!」
と、頭から湯気が上がるほど
ぶち切れていた
-------------------------------------
数日後、あたしは再び戦地にいて
蒼龍の領内にいたものの
自分たちのミッションが思うように進んでいなかった
ポイントにたどり着いた自分と
ともにいたマキナとレムが
深手を負ったから動けずに救援を待ったからだった
「すまないな。ケイト」
申し訳なさそうに言うマキナ
レムはマキナをいたわるように
ハンカチを濡らしてきたもので額をぬぐう
「いいって、いいって!もうすぐ来るでしょ!
救援も。その間しっかり休んでなさいよ!!」
胸を張ってあたしはしばらく二人を見ていた
蒼龍の領内にある洞窟
壕のようなものか、どこか人工的に感じられた
煙が立つとまずいこともある
が、今は蒼龍とは休戦中
猛獣かモンスターくらいしかいないのなら
逆に火を焚いたほうがいいか
残り少ない魔力で、集めてきた木々に炎をつける
レムは少しむせこんでいたが
救援がいつになるかわからないため
しばらくはここで待機となる
最後のポーションを自分にくれたので
せめてそれまで二人を守らないといけない
「・・・さっき通信したときは、キングが出たな」
無愛想だが、やることはきっちりやる奴だと解釈し
ひたすら待つが、COMMも鳴らず
更に言うと
マキナの横で手厚く看護していたレムが
いつの間にかコクコクと、眠り始めていた
マキナを見ると
「寝かせてやって」
と、人差し指を立てて静かにと言われた
愛されてるなぁ・・・
ちょっと羨ましいと思いつつ
妬けてしまったのも事実だった
自分は洞窟の奥を指差し
ちょっと見てくると合図して
洞窟の奥を見に行った
-------------------------------------------
一回りしてみたが、たいした広さはなく
誰かが残していったのか
蒼龍兵のものなのか、野営の跡が残っていただけだった
そして、二人の待つところへ戻ると
マキナがレムを肩によりかからせていたのが見え
声をかけようとした瞬間
マキナの顔がレムの顔に重なり
「うそ・・・」
キスしているのが見えた
二人はやっぱり恋人同士だったのか?
いやいや、この前の話じゃ、付き合ってるってのは
ないようだったけど・・・
明らかに邪魔者だと気づき
彼らから見えないところへしゃがみこんでいた
自分の唇を、ふとなぞってみる
「・・どんな感じなんだろ・・・」
未だ知らぬその感触を
自分は想像しては
やんわりと指を唇に押し当てた
-------------------------------
一方その頃、キングは
目をやられた状態で、瀕死だった
合流したナインはすでに戦線離脱しており
しばらく敵をやり過ごさないと動けない状況だった
「ケイトたちと連絡をとらないといかんのに
動けんな・・・」
ぼやくしかできない。
しばらくすると、視界に小柄な兵の姿があった
「エイトか・・」
やや距離があるので連絡が取れそうにない
幸い今は敵兵らしいものがいない
モンスターの類は多々いるが
仕方ない
銃で空を撃つ
途端、エイトが物陰に身を隠した
「いい反応だな」
自分の銃の音を聞き分けできるのかは不明だが
暗号を撃ってみる
4発撃ったところで、止める
次に8発連続で撃ち、止める
少し離れた物陰から、エイトが顔を出す
10分ほどして、エイトが付近に現れた
「キング!!」
「おお、エイト気づいたか」
「お前は大丈夫なのか?」
「ナインは今離脱中だ、仕方ない
付近に他にいなかったか?」
「今はいないな・・俺はお前らを探しに遣された
もしかして、さっきの発砲・・」
「ああ、ケイトがレムとマキナと一緒に
少し離れたところで待機している。
マキナとレムは負傷しているらしい。」
「・・・了解」
「連絡に寄れば、あの崖の反対側のふもとだな
さっきまでは通じたのに、妨害を受けているのか
今は通じん」
「それは、俺が合流を命じられるときに言われた
傍受の恐れから、俺がお前たち全員と合流して
合図するまで、一時的に通信ができないと」
「全く・・戦地に送り込んでから言うな・・だな」
「それはそうだ。俺も早めにあいつらと合流する
合図に魔法で空を撃つので、それまでここを
動かないでくれ。緊急時はさっきの暗号でわかる」
「・・・・そうか?」
「・・・?心配しなくても、耳はいい、じゃあな」
そういうと、エイトは素早く茂みの向こうへ
消えていってしまった
「・・・まあ、いい。あいつもいつか認めざるを
得ないだろう・・」
キングはそういうと、横たわるナインの脇に
そっと腰を下ろし、銃を眺めた
あとちょっとだけ望むことがある
相手に
自分に
そんな大事なことなのかときかれると
正直いつも返答に困る
自分には大事ってだけ
いや
本当は大事なんじゃなくて
そういわないと困るから
困るのは その一言が
あたしにはまだ受け止められないから
-----------------------------------------
あたしとレムとデュースは 中庭にいた
ベンチに座ったレムを
囲むように
あたしはついつい興味で
マキナとの関係をつついていた
レムは
「ただの幼馴染だよ」
と、最初は言っていたけど
問い詰めればいつの間にか口を滑らせ
その恋心を認めていた
「へぇ〜 そんなに大事に想ってたんだね」
あたしはレムの一途さに感心して
デュースなんか
「素敵です!お似合いのお二人ですもの!!」
と、目をきらきらさせて聞いていた
中庭で、そんな話を楽しんでいると
「ケイトは好きな人いないの?」
と、逆にレムにふられてしまった
「え?あたし? いないいない!!」
急に振られて全否定 というか
本当にそこまで意識なんてしてなかった
「そんなに否定しなくっても・・」
苦笑いを浮かべるレム
デュースが
「そうですね、そういえばケイトさん
エイトさんと以前仲良く話してらっしゃい・・」
言いかける
「!!!ないよ!!」
「ないないないない、だってうちらは兄妹みたいな
もんじゃん!! そんなの言われても!!」
「そこまで否定すると、逆に怪しいよ〜?」
「そうですよ、同じクラスじゃなくても
誰かいらっしゃらないのですか?」
「そうだよね、なんか二人はカップルっていうより
よく似た兄妹って感じがするね」
「兄妹?そんな風に見える?」
「わたしから見れば、兄妹みたいに仲いいって
羨ましいけどね」
「それを言えば、わたしとケイトさんも
姉妹ですよね」
そう、うちらは全員姉妹で兄妹だ
誰が弟かってほどじゃないけど
ジャックは弟?
セブンやキングは姉と兄
クイーンも姉かな それいうとトレイも兄?
他は全部タメなイメージ
年も近いし イメージのほうが強いかも
エイト・・・そういえば
あたしに近いイメージかも
小柄でよく動いて
でも
「でも、エイトさんはどちらかというと
寡黙でいらっしゃいますね いつも一人で
鍛錬されていることが多いですし
わたしたちと違って武器も使われません
何か自分に厳しく誓いを持って
戦ってらっしゃるのかもしれませんね」
「そうかなぁ・・・ 」
「たしかにそう見えるね
この前のミッションで見てたけど
すごい動きが素早くて、いつの間にか
敵陣を突破していってて
すごいなって感心しちゃったよ」
「そうなの?」
「あ、でも ケイトもすごく走るの速いね
同じ女の子なのに、いつの間にかずっと
先を走ってて カッコいいなって思うよ」
「そうですね、ケイトさんとエイトさん
お名前もよく似てらっしゃいますしね」
「それ・・この前も誰かに言われたなぁ・・
あんまり嬉しくないんだけど」
「拳で戦うのは怖くないのかなぁ・・」
レムのその言葉は確かに想う
以前エイトが言っていた 拳で戦う理由
倒した相手の命や痛みを自分に遺すため
「ドMじゃないの・・
あたしと目線があんまり変わらないし」
「ケイト、だめだよ
男の人に背のこと言うのは禁句なんだって
マキナが言ってたよ?」
「そうなの?」
「そうですよ、私たちでも傷つくことがあります
背でなくても、他人の身体的特徴は
言っては失礼ですよ!!」
「だって、チビじゃん」
そういうと
頭上でガサガサと音がして
見上げた途端
人影が降ってきた
くるりと猫のように着地したその人は
エイト本人だった
三人ともあまりに驚いて
口をパクパクさせていたけど
「うるさいな、眠れやしない」
と、不機嫌そうにこちらを見る
どうやら木の上で昼ねをしていたらしく
「す、すみません!!」
デュースが平謝りしている
「いいさ、もうそろそろ起きるつもりだった」
「ごめんね、うるさくして」
レムもペコと頭を下げている
エイトはレムに軽く手を振ると
こちらを見て
「・・・チビで悪かったな」
すれ違いざま ぼそりと言われた
あたしはさすがにばつが悪く
エイトが教室に入っていくのを
黙って見送るしかできなかった
その後しばらく、自分はひたすら
レムとデュースの二人に
「なんなのよ!!あいつ!!!」
と、頭から湯気が上がるほど
ぶち切れていた
-------------------------------------
数日後、あたしは再び戦地にいて
蒼龍の領内にいたものの
自分たちのミッションが思うように進んでいなかった
ポイントにたどり着いた自分と
ともにいたマキナとレムが
深手を負ったから動けずに救援を待ったからだった
「すまないな。ケイト」
申し訳なさそうに言うマキナ
レムはマキナをいたわるように
ハンカチを濡らしてきたもので額をぬぐう
「いいって、いいって!もうすぐ来るでしょ!
救援も。その間しっかり休んでなさいよ!!」
胸を張ってあたしはしばらく二人を見ていた
蒼龍の領内にある洞窟
壕のようなものか、どこか人工的に感じられた
煙が立つとまずいこともある
が、今は蒼龍とは休戦中
猛獣かモンスターくらいしかいないのなら
逆に火を焚いたほうがいいか
残り少ない魔力で、集めてきた木々に炎をつける
レムは少しむせこんでいたが
救援がいつになるかわからないため
しばらくはここで待機となる
最後のポーションを自分にくれたので
せめてそれまで二人を守らないといけない
「・・・さっき通信したときは、キングが出たな」
無愛想だが、やることはきっちりやる奴だと解釈し
ひたすら待つが、COMMも鳴らず
更に言うと
マキナの横で手厚く看護していたレムが
いつの間にかコクコクと、眠り始めていた
マキナを見ると
「寝かせてやって」
と、人差し指を立てて静かにと言われた
愛されてるなぁ・・・
ちょっと羨ましいと思いつつ
妬けてしまったのも事実だった
自分は洞窟の奥を指差し
ちょっと見てくると合図して
洞窟の奥を見に行った
-------------------------------------------
一回りしてみたが、たいした広さはなく
誰かが残していったのか
蒼龍兵のものなのか、野営の跡が残っていただけだった
そして、二人の待つところへ戻ると
マキナがレムを肩によりかからせていたのが見え
声をかけようとした瞬間
マキナの顔がレムの顔に重なり
「うそ・・・」
キスしているのが見えた
二人はやっぱり恋人同士だったのか?
いやいや、この前の話じゃ、付き合ってるってのは
ないようだったけど・・・
明らかに邪魔者だと気づき
彼らから見えないところへしゃがみこんでいた
自分の唇を、ふとなぞってみる
「・・どんな感じなんだろ・・・」
未だ知らぬその感触を
自分は想像しては
やんわりと指を唇に押し当てた
-------------------------------
一方その頃、キングは
目をやられた状態で、瀕死だった
合流したナインはすでに戦線離脱しており
しばらく敵をやり過ごさないと動けない状況だった
「ケイトたちと連絡をとらないといかんのに
動けんな・・・」
ぼやくしかできない。
しばらくすると、視界に小柄な兵の姿があった
「エイトか・・」
やや距離があるので連絡が取れそうにない
幸い今は敵兵らしいものがいない
モンスターの類は多々いるが
仕方ない
銃で空を撃つ
途端、エイトが物陰に身を隠した
「いい反応だな」
自分の銃の音を聞き分けできるのかは不明だが
暗号を撃ってみる
4発撃ったところで、止める
次に8発連続で撃ち、止める
少し離れた物陰から、エイトが顔を出す
10分ほどして、エイトが付近に現れた
「キング!!」
「おお、エイト気づいたか」
「お前は大丈夫なのか?」
「ナインは今離脱中だ、仕方ない
付近に他にいなかったか?」
「今はいないな・・俺はお前らを探しに遣された
もしかして、さっきの発砲・・」
「ああ、ケイトがレムとマキナと一緒に
少し離れたところで待機している。
マキナとレムは負傷しているらしい。」
「・・・了解」
「連絡に寄れば、あの崖の反対側のふもとだな
さっきまでは通じたのに、妨害を受けているのか
今は通じん」
「それは、俺が合流を命じられるときに言われた
傍受の恐れから、俺がお前たち全員と合流して
合図するまで、一時的に通信ができないと」
「全く・・戦地に送り込んでから言うな・・だな」
「それはそうだ。俺も早めにあいつらと合流する
合図に魔法で空を撃つので、それまでここを
動かないでくれ。緊急時はさっきの暗号でわかる」
「・・・・そうか?」
「・・・?心配しなくても、耳はいい、じゃあな」
そういうと、エイトは素早く茂みの向こうへ
消えていってしまった
「・・・まあ、いい。あいつもいつか認めざるを
得ないだろう・・」
キングはそういうと、横たわるナインの脇に
そっと腰を下ろし、銃を眺めた
13/07/06 18:40更新 / 霜月(bruler)