髪結いと心理戦 (零式J7)
「ねぇ、セブン」
「・・・なんだ」
けっこう不機嫌そうに返事が返ってくるけど
僕はいっこうに気にしない
さっきシンクからもらった
髪を結ぶゴムやリボンを
たくさん貰って来たから
「・・・いったいさっきから
人の髪で何を遊んでるんだ・・」
ベッド下の床に座ったセブンの髪を
僕はそのままベッドの上で
結んだり編んだりして
セブンの新しい髪型を試している
「・・それならいっそ、ジャックの
整髪料で、私もオールバックにしようか?」
セブンが洒落にならないことを言った
「・・・やめて、セブン・・
絶対僕よりかっこよくなるに決まってるから・・」
彼女の方がかっこよくてもてるなんて
僕ぐらいなんじゃないの?
「まぁいいがな・・それよりも
私は長いところも短いところもあるから
結いにくいだろ?」
「ん〜まぁそうなんだけど・・
たまには気分変えてみてもいいんじゃない?」
そう言うと
「・・マメな奴だな」
セブンはされるがままになってくれるけど
正直あまり興味はなさそうだ
「・・・いつもの私の髪型は
気に入らないのか?」
「まさか、十分綺麗だよ」
そこは肯定しないとね
僕はセブンの髪も大好きなんだから
「ん〜・・・と言うかね
僕としてはセブンの綺麗なうなじがみたいだけなんだ」
「・・・それだけか」
僕はセブンの後ろ髪をかきあげて
綺麗なうなじにキスを落とす
「こら!」
怒られちゃった
でもセブンがちょっと赤くなっているのがわかる
さっきから作戦資料を見ていて
僕が分からないと困るからって
わざわざ声に出して読んでくれている
「セブンの事が好きすぎて・・
作戦なんかさっさと終わらせていちゃつきたいから
絶対勝って帰ってやるんだからね!」
「・・・動機が不純だが、勝つことに意味がある
その意気で挑めよ」
淡々と語るセブン
そんな事言われなくたって
セブンとの時間は絶対に邪魔させないんだから
「その作戦、明日でしょ?」
「ああ・・だから今日は早く休まないとな・・」
やっぱりな、そんな事だろうと思った
「・・・今日はダメなの?」
「当たり前だ」
そんなぁ・・即答なの?
僕はちょっとでも許して欲しくって
セブンの頬のラインを指でなぞってみる
するとその手をぺしんとはたいて
セブンはじろりと僕を睨んできた
「いい加減にしろ、お前は一度始めたらしつこいからな
明日の任務も同じ班なんだから、切り替えろ」
「ん〜〜セブンはクールなんだから・・」
不満はいっぱいあるけど
セブンはこういう事は絶対妥協しないんだよね
仕方ないから条件をつけた
「じゃあ、明日終わったら、エッチしていい?」
「・・・・・」
セブンは黙ってしまった
「ね〜ぇ〜セブン〜〜」
僕が肩をもむ真似をしても
セブンは目を資料に落としたままで
何も言ってくれない
「ちぇ〜」
つまんなくてベッドに仰向けに転がってみると
不意に影が上から降りてきて
ちゅ
と音を立てて
セブンがキスをしてくれた
「・・・え」
目が合ったけど
すぐにセブンはふいと逸らして
ドアに向かって行ってしまった
「・・・明日の活躍次第だな」
そう言ってから扉を出て行った
「・・・そんな事言われたら・・さぁ」
これを飴と鞭と言わずしてなんというのか
「・・・頑張っちゃうしかないじゃん〜〜〜」
僕はベッドの上でゴロゴロ転がって
明日の勝利を誓ったのだった
13/10/17 11:44更新 / 霜月(bruler)