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誇り(セシル&カイン)
僕は過去にカインにこんなことを聞いたことがある。

「僕と一緒にいて楽しい?」

今考えるとなんて馬鹿げたことを聞いたんだと思う。
もちろんそのときカインには容赦なく怒鳴られた。

「今更になってそんなくだらねぇこと聞いてくんなバカ」

いつもカインに怒られたり注意されても僕は大体スルーしていたが、
そのカインの本音の怒りを受けたときだけは、涙した。



僕がこんなことを考えて、発言してしまったのには理由があった。
僕が幼少期の頃、幼稚園で初めて友達ができた。
僕とその子は、いつも、どんなときも一緒にいた。
これが普通だと思っていた。
いつまでも、卒園するまではこの日常が続くと思っていた。
なのに、

いつもと変わらない日、「遊ぼう」と僕が遊びに誘ったとき
別れのときが突然きた。

「…?あの車、ずっと止まってるね。なんでだろうね?」
「…セシル」
「ん?」
「…ごめんね。今日でバイバイなの」
「…………え」

僕はなにも言えずにその子は親の車に乗り、去ってしまった。
それからずっと…会うことはなかった。

僕はその翌日から一人ぼっちになったのだ。
ひとりで絵を描いて時間を潰していたとき、声をかけた人物。
それが同じ幼稚園に通っていた

「一緒にピアニカ吹かない?」

カインだった。


それから僕とカインは一緒に行動し始めたのだ。
親友ができて嬉しかった。この人が大好きだ。

でも

また大切な親友がどこかへ行ってしまったら。
僕が好きになった人は、今までほぼ引っ越してしまった。
もう、別れはいやだ。
嫌なんだ。

だから、なるべく人を好きにならないようにするか、
一緒に行動したくないというのが本心だった。


だから、こんなことを言ってしまったんだ。
「僕と一緒にいて楽しい?」
それは逆に
「カインとは一緒にいたくない」
という意味でもあった。


「………怒った?」
「…いや、怒ったというか」
「…」
「ショックだな」
「…ごめ…」
「なんでそんなこと…言うんだよ」
「だってさ、カイン、あんまり信頼できる友達っていないでしょ?
だから、僕も………そのなかに入れてほしいんだ」
「信頼するなってことか?」
「うん」
「何で…………何で!!!!!!」涙しながらうつむいた。

間が空いた。

「…素で…話せ…」
「?」
「素で話せる親友…お前しかいない」
「なんで?ローザたちがいるじゃないか」
「セシルとの関係とローザたちに対する関係は違う!!」
「…どういう意味?」
「だから…兄弟みたいな…」
「兄弟!??;;;」
「なんというか……あぁあぁぁぁぁあああ!!!!
自分で何言ってるかわかんなくなってきた!!」
「…僕も同じ」
「とにかく!!お前といると、気が 楽 !!!」
「あ…あぁありがとう;」
「余計な気遣いしなくていいところとか」
「…ん?」
「ちょっかいだしても予想通りに歯向かってくるとか」
「…おぃ」
「そのときのセシルがウケるところ」
「褒めてるの?侮辱してるの?」
「何言ってんだよ!褒めてるんだよ」
「ありがとう。狂気になれアホ」
「うるせぇ」



大人になって、互いに別々の道を歩んでしまったらこんなくだらない日常は
いつか遠い笑い話になってしまうだろう。
でも、今を楽しく生きることで未来に悔いは残らない。





今このとき、この時代、君に会えたことに誇りを持って言おう。



君がいたから 今 僕はここにいる。



                              
12/05/20 12:21更新 / 実咲

■作者メッセージ
セシルがカインに対し依存しているようにしか見えない小説でした^^;
親友って本当に大切な存在です。
ちなみに私の親友の数は小学時代に2人、中学で1人、高校で1人。
本当に彼らには支えられっぱなしです。
でも姉は親友1人のみなんですよね。
4人もいたら十分いいほうだと思います。
高校卒業したら上京するのが2人もいるので、地元の親友が……;;
大人になるって楽しみだけど嫌だなと思った今日でした。まる。

小説読んでいただきありがとうございました。

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