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おばけなんて(セシル&カイン)内容:ホラー
おばけなんていないに決まってるだろ!

僕たちはいつもこう言い合っていた。
どこかに遊びに行ったとき、ちょっと人の気配がすると言った。
噂でここのトンネルはヒールを履いた赤い女がいると聞いたときも言った。
しかし、現実は・・・


僕たちは運動部に入っていた。
部の時間だけでは物足りず、学校に行く前の朝4:00に電話でカインに起こされ、僕たちの母校の小学校の校庭で1時間、長距離を走るのが日課だった。
これを始めようと言い出したのはカインだ。
僕はよく寝坊をして、不機嫌なカインにいつも頭を下げながら小学校まで
走っていっていた。

こういう噂も聞いたことがある。
学校の近くには大抵墓地があるだろ?おばけとか絶対でるよな。
嘘。そう僕の中では思っていた。
あの光景をみるまでは。

カ「さて…小学校についたな。じゃぁいつもどおり、携帯で時間計ってくれ」
セ「おっけー」
カ「んじゃ…いくぞ」

カインは何周も、何周も走っている。

セシルは、ふと不気味に学校内で不規則に点滅している非常口の明かりに
目をやった。

セ「…うわぁ、教室の中見えるかな?」
ぼそっとつぶやいた。

徐々に視線を上へ、上へと上げた。
3階。あそこらへんはなんの教室だったかな?と思っていた刹那

人影が見えた。

セ「…え」

こっちをみている。
校庭からみているのに、かなりの長身だとわかる。
非常口の明かりの点滅のせいで、余計にゾッとした。

セ「カ…カイン!!!」
カ「…ぁあ?!お前…ちゃんと計ってろよ!」
セ「ちがぅ…見て!あれ…カインに見える?人がいる…」
カ「………!!!!!」
セ「警備員なんていた?ここの学校」
カ「車なんてなかったぞ」
セ「…てことは…本当に…」
カ「逃げよう」
セ「え」
カ「家まで走って帰るんだ!」
セ「カイン何キロも走った体で、こっからダッシュで帰るなんてムリだよ!」
カ「俺のことはどうでもいいんだよ!!!死にたいのか!」
セ「ッ………!!!」
カ「…じゃあ手をつないで逃げる。これでいいだろ」

僕はここに来るまでの距離しか走っていない。
僕のほうが体力が残っている。カインを引っ張る体力が十分残っている。

カ「じゃ…行くぞ!!」
二人は走った。暗闇の中を。





幸い、そのおばけは追いかけてこなかった。
僕は気づかなかったけど、カインが見ていたもうひとつの恐怖があった。
僕たちは校庭から外に出るまでに、必ず昇降口の前を通らなければならなかった。
そこでカインが目にした光景。
僕たちが校庭から昇降口付近に行くまでに10秒もかからない。
なのに、昇降口で

あのおばけがこちらに向かって歩いていたらしい。

3階から、しかも昇降口から正反対の方角にいたのに。
普通の人間なら走っても1分はかかる。
その話をカインから聞いたときは震えというより怒りだった。

セ「…なんで言ってくれなかったんだよ!!!
カインだけそのとき、恐怖を味わったんじゃないか!!
僕に言ってくれれば…カインを恐怖に陥れたアイツを…」
カ「殴れねぇぞ?おばけなんだから」
セ「でも……」
カ「ふ…くはは」
セ「何笑ってんだよ」
カ「お前とお化け屋敷入りたいなって思ってな」
セ「?」
カ「お前と入ったら心強いなーって」
セ「…はぁ」


あれをみてから、部を引退するまで二度と夜中に小学校に行かなくなった。
僕はたまにカインに冗談半分で
「行ってみる?」
と言う。すると彼は
「いっぺん死んで来い」
と言う。

今では笑い話になったけど、あの恐怖を僕らは一生忘れないだろう。
11/11/01 22:30更新 / 実咲

■作者メッセージ
これ書いていて再び鮮明にこのときの光景が思い出されました;
いやーーーーー怖かった^^;
ていうか…えー…もしこれ読んでいる小学生の方々様すいません;
大丈夫です、よほど暗い時間に行かなければなんも怖くないですよ!!
まず第一に、学校は学ぶところです。ホラー体験する場所じゃありません。
これ大事っすよ!!!^^☆

駄文読んでいただきありがとうございましたv

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