reason
ぎぃん、と鳴る金属音。
時々聴こえる、肉が裂け血飛沫の飛び散る音。
地面を蹴り、又は着地したりする音。
そして、荒い息遣い。
ここに響く音はそれしかない。
それ以外は、只静寂のみが重く垂れ下がる、或いはふわふわと漂う世界。
視線を交差させたニ人には最早話す事等無かった。
声に出して訊かずとも、既に分かりきっている事ばかりだった。
そんな中、ー人が徐に口を開いた。
「…何故だ」
特徴的な金髪の、真っ直ぐな碧の瞳を持つ剣士が尋ねた。
「何がだ?」
長い銀髪で黒い口ングコートを羽織った、翡翠の瞳の男が更に問い返す。
「…あんたは何故、戦うんだ」
“何故戦うのか”。
今まで、分かっている様で分かっていなかったもの。
ー体、あの男−セフィロスは、どの様な理由があり、戦っているのだろうか。
先に口を開いた剣士−否、クラウドには、明確な理由があった。
“仲間の夢を守る”事。
そして、
“大切な仲間を守る”事。
…クラウドにとって、仲間とは最優先すべき事に等しかった。
仲間を、
友をこれ以上失いたくなかった。
何故“これ以上”なのかは記憶が取り戻せていないので分からない。
ただ、自分の目の前で仲間が苦しんでいるのに、自分は何も出来ない。
…そんなどことない消失感があった。
だから、これ以上そうならない為に、仲間や友の為戦うと決めたのだ。
…だからだろうか。何故セフィロスが戦うのか、理解が出来なかった。
セフィロスがゆっくりと口を開いた。
「さぁ…どうしてだろうな?お前になら分かるのではないか?クラウド」
答えになっていない答えに、クラウドはいらつく。
「…俺が知っていたら訊いていない」
それでもセフィロスは相変わらずの薄笑いを浮かべつつ、
「フッ…どうだか」
セフィロスはそう言い終わらない内に刀を構え、技を繰り出した。
またも聴こえる金属音。
クラウドはセフィロスの刀をいなしつつ、先程の会話について考え込んでいた。
“お前になら分かるのではないか?”
この言葉がどうにも引っ掛かって仕様が無いのだ。
−セフィロスが戦う理由を、俺が握っている?−
…理解が出来なかった。
そう考え込んでいる内に、
「懐ががら空きだぞ」
ざくっ、と自分の肉が斬られた。
と思えば直ぐに刃の冷たさと熱さ、そして血の噴き出す感覚。
やられた。
視界がぐらぁ、と傾き、暗転した。
「……………」
「………ド…」
「…ラ…ド…」
「…ラウド!!」
……何だ…?
「クラウド!!」
…ゆっくりと目を開けると、そこは聖域だった。
「あ、目え覚めたッスか?」
「…ティーダ?」
「うん、意識•記憶共に問題ナシ!!」
満足そうにうんうん頷くと、安心したように溜め息をついた。
「…にしてもビックリしたッスよ。バッツ達が見つけてくれてなきゃ、今頃どうなってたか…。皆心配してたんスよ?」
“皆心配してる”。その言葉にどこか安堵する自分がいた。
「そうか…すまなかったな」
「クラウドが謝る事無いって!!それより、ちゃんと休んで早<傷治せよな!!…じゃ!!」
ティーダはそう言うと、此方に手を振りどこかへ行ってしまった。
クラウドは、はぁ、と溜め息を一つつき、
「…あまり考え過ぎない方がいいかもな」
と独り言を呟いた。
…気にならない訳では無かった。だが、今は忘れる事にした。
時々聴こえる、肉が裂け血飛沫の飛び散る音。
地面を蹴り、又は着地したりする音。
そして、荒い息遣い。
ここに響く音はそれしかない。
それ以外は、只静寂のみが重く垂れ下がる、或いはふわふわと漂う世界。
視線を交差させたニ人には最早話す事等無かった。
声に出して訊かずとも、既に分かりきっている事ばかりだった。
そんな中、ー人が徐に口を開いた。
「…何故だ」
特徴的な金髪の、真っ直ぐな碧の瞳を持つ剣士が尋ねた。
「何がだ?」
長い銀髪で黒い口ングコートを羽織った、翡翠の瞳の男が更に問い返す。
「…あんたは何故、戦うんだ」
“何故戦うのか”。
今まで、分かっている様で分かっていなかったもの。
ー体、あの男−セフィロスは、どの様な理由があり、戦っているのだろうか。
先に口を開いた剣士−否、クラウドには、明確な理由があった。
“仲間の夢を守る”事。
そして、
“大切な仲間を守る”事。
…クラウドにとって、仲間とは最優先すべき事に等しかった。
仲間を、
友をこれ以上失いたくなかった。
何故“これ以上”なのかは記憶が取り戻せていないので分からない。
ただ、自分の目の前で仲間が苦しんでいるのに、自分は何も出来ない。
…そんなどことない消失感があった。
だから、これ以上そうならない為に、仲間や友の為戦うと決めたのだ。
…だからだろうか。何故セフィロスが戦うのか、理解が出来なかった。
セフィロスがゆっくりと口を開いた。
「さぁ…どうしてだろうな?お前になら分かるのではないか?クラウド」
答えになっていない答えに、クラウドはいらつく。
「…俺が知っていたら訊いていない」
それでもセフィロスは相変わらずの薄笑いを浮かべつつ、
「フッ…どうだか」
セフィロスはそう言い終わらない内に刀を構え、技を繰り出した。
またも聴こえる金属音。
クラウドはセフィロスの刀をいなしつつ、先程の会話について考え込んでいた。
“お前になら分かるのではないか?”
この言葉がどうにも引っ掛かって仕様が無いのだ。
−セフィロスが戦う理由を、俺が握っている?−
…理解が出来なかった。
そう考え込んでいる内に、
「懐ががら空きだぞ」
ざくっ、と自分の肉が斬られた。
と思えば直ぐに刃の冷たさと熱さ、そして血の噴き出す感覚。
やられた。
視界がぐらぁ、と傾き、暗転した。
「……………」
「………ド…」
「…ラ…ド…」
「…ラウド!!」
……何だ…?
「クラウド!!」
…ゆっくりと目を開けると、そこは聖域だった。
「あ、目え覚めたッスか?」
「…ティーダ?」
「うん、意識•記憶共に問題ナシ!!」
満足そうにうんうん頷くと、安心したように溜め息をついた。
「…にしてもビックリしたッスよ。バッツ達が見つけてくれてなきゃ、今頃どうなってたか…。皆心配してたんスよ?」
“皆心配してる”。その言葉にどこか安堵する自分がいた。
「そうか…すまなかったな」
「クラウドが謝る事無いって!!それより、ちゃんと休んで早<傷治せよな!!…じゃ!!」
ティーダはそう言うと、此方に手を振りどこかへ行ってしまった。
クラウドは、はぁ、と溜め息を一つつき、
「…あまり考え過ぎない方がいいかもな」
と独り言を呟いた。
…気にならない訳では無かった。だが、今は忘れる事にした。
13/01/26 11:33更新 / ナイト(仮)