Frioniel
鎧の音。
マントがたなびく音。
城内に響く、戦闘音。
……………間違い無く奴だろう。
「………虫ケラ、か。」
この私に勝てる訳が無いのに、しつこく粘る調和の駒。
私に敵わないことも知らないで、ひたすら粘る哀れな駒。
「まだ粘るか…虫ケラの分際で」
貴様はいつも私の邪魔をしてくれる。…不快で仕方が無い。
挙げ句の果てには、クリスタルを手に入れれば元の世界に戻れると信じ、何としてでもクリスタルを手に入れようと足掻く阿呆ぶり。
……神の授けしその“希望の結晶”を手に入れることが、自ら破滅を導くとも知らず足掻く、駒。
「まぁ良い…コスモスが消えることは私にとっても都合が良いしな。それに……」
いつしか泥沼に嵌ってもがくことしか出来なくなった様を見るのもまたー興。
近付く鎧の音。奴はもうすぐそこだ。
「やっと見つけたぞ…皇帝っ!!」
虫ケラのあの鬱陶しい声が聴こえる。
…哀れな虫ケラに何と返してやろうか。
「フン…何度足掻こうと無駄な事」
……そう、無駄なことだ。
「貴様は必ず…ここで倒すっ!!……そこだっ!!!!」
言うが早く、雷を纏ったナイフを投げて来る。…シーズナイフか。
「フッフッフ…薔薇など全て散らしてやろう……」
一旦、奴のナイフを避けてから杖を具現化させ、振りかざす。
「目障りだ」
雷の紋章。相手を暫く拘束出来る為、他の技を使う前や、まず相手を足止めしたい時等、とても重宝する技だ。
「っ…ぐ、…くぅ…っ!!」
虫ケラの呻き声。…まあ、余興には丁度良いだろう。
「情けないな…所詮は虫ケラ、か」
“貴様は絶対に許さない!!”
“おまえなどには負けん!!”
“貴様は必ず…ここで倒すっ!!”
あいつの言った言葉が、頭の中でリフレインする。
………耳障りだ。そして、実に不愉快だった。
「逃げ惑え」
未だ拘束中の奴に放つはフレア。…逃げられない状況下でこれは少々酷だったか。
「ぐおっ!?…くうっ…!!」
怯んだ隙に、距離を離す。…奴の攻撃範囲は、中々侮れない。
「く…っ、逃がすか!!」
リードアックス。
リーチが長く、あれに捕まれば奴の独壇場だろう。ダブルディフィートを使われる危険だってある。
…今、あれを食らう訳にはいかないだろう。
少し考え、
「余興は終いだ…せいぜいもがき苦しめ」
斧を回避してから、闇の回廊を開いて移動することにした。
そして、くるくると回転しつつ近付く斧は間一髪、外れて奴の手元へ帰っていった。
「させるかっ………うおぉぉおっ!!!!」
武器全てがー斉に襲いかかって来る。…恐らくは、マスターオブアームズ。シールドバッシュより面倒だ。
……間に合うか?
「フッ…またいずれ、な」
こちらの方が、ー瞬だけ、早かった。
「くそっ………!!」
消える瞬間、奴の悔しがる顔がちらと見えた。
………そして、主のいない城に響くのは、舌打ちと鎧の微かな音のみだった。
---------------------------------------
目の前には、玉座。
柱がいくつも立ち並び、床にはー部、赤のカーペットが敷かれる。
随分と古びた様相のそこは、過去の力オス神殿と呼ばれる、力オス軍勢のアジトとも言える場所。
降り立った場は2階で、皆出払っているようだった。
そこに、1枚の、黒い羽根。
「またからかってきたのですか…?」
いい加滅、遊ぶのは止めて本気を出したどうです?と妖艶な魔女は笑った。
「フン…貴様も言えないのではないか?アルティミシア…」
アルティミシア一一一そう呼ばれた魔女はそうですね…と口を開き、
「まぁ、私も貴方も“神が空席となった世界”に君臨しようと企む身…お互い、“その時”までは………」
妖しく微笑み、「手は出さないように…?」
と続けた。
「それ位分かっている…私を誰だと思っているんだ?」
「あら、それは失礼…“皇帝”様?」
ではまた、と少し微笑み、姿を消した。
輪廻を楽しもうが、悲しもうが、消そうとしようが、あがこうが関係ない。
…そう、私が皇帝。私が頂点なのだ。
神だろうと、何だろうと。
………そんなもの、私が壊してやろう。
この野望、必ず…叶えて見せる。
……………そう、必ず。
「世界に皇帝は私1人だ」
この世界に君臨するのは、私だ。
マントがたなびく音。
城内に響く、戦闘音。
……………間違い無く奴だろう。
「………虫ケラ、か。」
この私に勝てる訳が無いのに、しつこく粘る調和の駒。
私に敵わないことも知らないで、ひたすら粘る哀れな駒。
「まだ粘るか…虫ケラの分際で」
貴様はいつも私の邪魔をしてくれる。…不快で仕方が無い。
挙げ句の果てには、クリスタルを手に入れれば元の世界に戻れると信じ、何としてでもクリスタルを手に入れようと足掻く阿呆ぶり。
……神の授けしその“希望の結晶”を手に入れることが、自ら破滅を導くとも知らず足掻く、駒。
「まぁ良い…コスモスが消えることは私にとっても都合が良いしな。それに……」
いつしか泥沼に嵌ってもがくことしか出来なくなった様を見るのもまたー興。
近付く鎧の音。奴はもうすぐそこだ。
「やっと見つけたぞ…皇帝っ!!」
虫ケラのあの鬱陶しい声が聴こえる。
…哀れな虫ケラに何と返してやろうか。
「フン…何度足掻こうと無駄な事」
……そう、無駄なことだ。
「貴様は必ず…ここで倒すっ!!……そこだっ!!!!」
言うが早く、雷を纏ったナイフを投げて来る。…シーズナイフか。
「フッフッフ…薔薇など全て散らしてやろう……」
一旦、奴のナイフを避けてから杖を具現化させ、振りかざす。
「目障りだ」
雷の紋章。相手を暫く拘束出来る為、他の技を使う前や、まず相手を足止めしたい時等、とても重宝する技だ。
「っ…ぐ、…くぅ…っ!!」
虫ケラの呻き声。…まあ、余興には丁度良いだろう。
「情けないな…所詮は虫ケラ、か」
“貴様は絶対に許さない!!”
“おまえなどには負けん!!”
“貴様は必ず…ここで倒すっ!!”
あいつの言った言葉が、頭の中でリフレインする。
………耳障りだ。そして、実に不愉快だった。
「逃げ惑え」
未だ拘束中の奴に放つはフレア。…逃げられない状況下でこれは少々酷だったか。
「ぐおっ!?…くうっ…!!」
怯んだ隙に、距離を離す。…奴の攻撃範囲は、中々侮れない。
「く…っ、逃がすか!!」
リードアックス。
リーチが長く、あれに捕まれば奴の独壇場だろう。ダブルディフィートを使われる危険だってある。
…今、あれを食らう訳にはいかないだろう。
少し考え、
「余興は終いだ…せいぜいもがき苦しめ」
斧を回避してから、闇の回廊を開いて移動することにした。
そして、くるくると回転しつつ近付く斧は間一髪、外れて奴の手元へ帰っていった。
「させるかっ………うおぉぉおっ!!!!」
武器全てがー斉に襲いかかって来る。…恐らくは、マスターオブアームズ。シールドバッシュより面倒だ。
……間に合うか?
「フッ…またいずれ、な」
こちらの方が、ー瞬だけ、早かった。
「くそっ………!!」
消える瞬間、奴の悔しがる顔がちらと見えた。
………そして、主のいない城に響くのは、舌打ちと鎧の微かな音のみだった。
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目の前には、玉座。
柱がいくつも立ち並び、床にはー部、赤のカーペットが敷かれる。
随分と古びた様相のそこは、過去の力オス神殿と呼ばれる、力オス軍勢のアジトとも言える場所。
降り立った場は2階で、皆出払っているようだった。
そこに、1枚の、黒い羽根。
「またからかってきたのですか…?」
いい加滅、遊ぶのは止めて本気を出したどうです?と妖艶な魔女は笑った。
「フン…貴様も言えないのではないか?アルティミシア…」
アルティミシア一一一そう呼ばれた魔女はそうですね…と口を開き、
「まぁ、私も貴方も“神が空席となった世界”に君臨しようと企む身…お互い、“その時”までは………」
妖しく微笑み、「手は出さないように…?」
と続けた。
「それ位分かっている…私を誰だと思っているんだ?」
「あら、それは失礼…“皇帝”様?」
ではまた、と少し微笑み、姿を消した。
輪廻を楽しもうが、悲しもうが、消そうとしようが、あがこうが関係ない。
…そう、私が皇帝。私が頂点なのだ。
神だろうと、何だろうと。
………そんなもの、私が壊してやろう。
この野望、必ず…叶えて見せる。
……………そう、必ず。
「世界に皇帝は私1人だ」
この世界に君臨するのは、私だ。
14/02/22 13:01更新 / ナイト(仮)