イングズの想い
─────闇の世界から帰還した時、私が真っ先に駆け寄ったのはルーネスの元だった。・・・意識を失っていた。
抱き起こして名を呼び、軽く頬を叩く。─────すると朧気に意識を取り戻したアメジスト色の瞳と目が合う。
一瞬驚いたような表情をしたが次の瞬間、はにかんだ笑顔を見せてくれた。
良かった・・・心の底から、安堵した。
そこへふと、サラ姫様の呼び声が─────腕の中のルーネスは弾かれたように身を離し、姫様が駆け寄って来て私の手を取り、労いの言葉を掛けて下さる。
それは嬉しい限りだが・・・横目でルーネスの方を見やると
こちらに背を向け、他の者達と喜びを分かち合っている。
─────少し、寂しさを覚えた。
その後、協力者達をそれぞれインビンシブルで送り、我々4人と姫様はウル村で解散する事となった。
サラ姫様は、近い内に城でパーティーを開くからルーネス、アルクゥ、レフィアに必ず来て欲しいと述べられた。
私も別れ際何か言おうとしたが・・・ルーネスに「さっさと行けよ」と言われてしまった。
─────この旅を終えて、改めて話したい事や伝えたい事もあったが、今は無理らしい。城で開かれるパーティーで、ゆっくり話せる機会があればいいが・・・
その当日、ルーネスは普段着でやって来た。あいつらしいというか・・・。すぐ話しに行きたかったが、他の多くの来賓客に囲まれてしまい向かう事が出来ない。
ルーネスも何人かに話し掛けられているが、愛想のない顔をしている。こういう場に慣れてないせいもあるだろうが・・・、私もどちらかというと苦手だ。
─────なかなかこの場を放してくれない、特に女性陣が。
いい加減あいつの元に行かせて欲しいと声を上げそうになった時、ガラスの割れるような音と共にパーティー会場がどよめいた。
視線の先には、横向きに倒れ込んだルーネスが・・・?
何があったと考えるより先に、身体が動いた。
人垣を掻き分け、ルーネスの傍で片膝を付き様子を見る。
・・・近くには、ワインボトルのガラス片が散らばっており、ルーネスは意識なく顔は赤みがさしている。
上体を抱き起こし片手を頬に当て名を呼び掛けるが、意識を戻さない。
─────このままではいけないと思い、両腕に抱き上げてその場を後にする。
呼び止めようとする声が聞こえたが、そんな事はどうでもいい。
向かう先は・・・特別に与えられた自分の部屋。
まずルーネスの結ばれている後ろ髪をほどきベッドに寝かせてやり、他の誰も入れまいと部屋に鍵を掛けておく。
・・・ベッドに横たわらせたルーネスは小さく呻いており、少し苦しそうにしている。
倒れていた近くにボトルのガラス片が散乱していたし、中身はこぼれていなかったから飲んだのか、酒を。
まだ嗜めもしないだろうに、ボトルで飲み干したのか。
─────それでは急に気分が悪くなって倒れるのも無理はない。何故こんな・・・調子に乗ったのか?
いや、楽しそうには見えなかった。
額に手を宛がうと、熱が伝わってくる。水で絞ったタオルを当てた方がいいだろうと思い、ベッドから離れようとした時
・・・
急にガバッと、ルーネスが上半身を起こした。
「大丈夫なのか? まだ寝ていた方が─────」
「・・・・・・」
おもむろにこちらを向いたルーネスの目は半眼で据わっており、何秒か静止した後いきなり上着を脱ぎ出した。
─────止める間もなく下着姿になり、それすらも脱ぎ去ってしまった。
華奢な身体と透き通るような肌が、なんの躊躇いもなく露になり、なんの恥じらいもなくベッド上でゆっくりと立ち上がる。
・・・しなやかな身体と、さらりとした肩程の銀髪。
悩ましげなアメジスト色の瞳に、思わず釘付けになる。
─────不意にルーネスはベッドから私の首周りに両腕で飛び付いて来た。
耳元に、熱い吐息が吹きかかる・・・と共に、囁きかけてくる。
『喰って・・・喰ってくれよ、あげるから全部』
─────その瞬間、自分の中で何かが外れた。
共にベッド上で絡み合い、ルーネスは爪を立て噛みついて来た。
狂おしい程に唇と肌を重ね、共に喘ぎ、のたうち回る。
・・・火照る身体、滲み出る汗と涙。
心と身体が溶け合い、一つになった時、愛が生まれ、愛に溺れる。
─────このまま死んだとしても、悔いはない。
抱き起こして名を呼び、軽く頬を叩く。─────すると朧気に意識を取り戻したアメジスト色の瞳と目が合う。
一瞬驚いたような表情をしたが次の瞬間、はにかんだ笑顔を見せてくれた。
良かった・・・心の底から、安堵した。
そこへふと、サラ姫様の呼び声が─────腕の中のルーネスは弾かれたように身を離し、姫様が駆け寄って来て私の手を取り、労いの言葉を掛けて下さる。
それは嬉しい限りだが・・・横目でルーネスの方を見やると
こちらに背を向け、他の者達と喜びを分かち合っている。
─────少し、寂しさを覚えた。
その後、協力者達をそれぞれインビンシブルで送り、我々4人と姫様はウル村で解散する事となった。
サラ姫様は、近い内に城でパーティーを開くからルーネス、アルクゥ、レフィアに必ず来て欲しいと述べられた。
私も別れ際何か言おうとしたが・・・ルーネスに「さっさと行けよ」と言われてしまった。
─────この旅を終えて、改めて話したい事や伝えたい事もあったが、今は無理らしい。城で開かれるパーティーで、ゆっくり話せる機会があればいいが・・・
その当日、ルーネスは普段着でやって来た。あいつらしいというか・・・。すぐ話しに行きたかったが、他の多くの来賓客に囲まれてしまい向かう事が出来ない。
ルーネスも何人かに話し掛けられているが、愛想のない顔をしている。こういう場に慣れてないせいもあるだろうが・・・、私もどちらかというと苦手だ。
─────なかなかこの場を放してくれない、特に女性陣が。
いい加減あいつの元に行かせて欲しいと声を上げそうになった時、ガラスの割れるような音と共にパーティー会場がどよめいた。
視線の先には、横向きに倒れ込んだルーネスが・・・?
何があったと考えるより先に、身体が動いた。
人垣を掻き分け、ルーネスの傍で片膝を付き様子を見る。
・・・近くには、ワインボトルのガラス片が散らばっており、ルーネスは意識なく顔は赤みがさしている。
上体を抱き起こし片手を頬に当て名を呼び掛けるが、意識を戻さない。
─────このままではいけないと思い、両腕に抱き上げてその場を後にする。
呼び止めようとする声が聞こえたが、そんな事はどうでもいい。
向かう先は・・・特別に与えられた自分の部屋。
まずルーネスの結ばれている後ろ髪をほどきベッドに寝かせてやり、他の誰も入れまいと部屋に鍵を掛けておく。
・・・ベッドに横たわらせたルーネスは小さく呻いており、少し苦しそうにしている。
倒れていた近くにボトルのガラス片が散乱していたし、中身はこぼれていなかったから飲んだのか、酒を。
まだ嗜めもしないだろうに、ボトルで飲み干したのか。
─────それでは急に気分が悪くなって倒れるのも無理はない。何故こんな・・・調子に乗ったのか?
いや、楽しそうには見えなかった。
額に手を宛がうと、熱が伝わってくる。水で絞ったタオルを当てた方がいいだろうと思い、ベッドから離れようとした時
・・・
急にガバッと、ルーネスが上半身を起こした。
「大丈夫なのか? まだ寝ていた方が─────」
「・・・・・・」
おもむろにこちらを向いたルーネスの目は半眼で据わっており、何秒か静止した後いきなり上着を脱ぎ出した。
─────止める間もなく下着姿になり、それすらも脱ぎ去ってしまった。
華奢な身体と透き通るような肌が、なんの躊躇いもなく露になり、なんの恥じらいもなくベッド上でゆっくりと立ち上がる。
・・・しなやかな身体と、さらりとした肩程の銀髪。
悩ましげなアメジスト色の瞳に、思わず釘付けになる。
─────不意にルーネスはベッドから私の首周りに両腕で飛び付いて来た。
耳元に、熱い吐息が吹きかかる・・・と共に、囁きかけてくる。
『喰って・・・喰ってくれよ、あげるから全部』
─────その瞬間、自分の中で何かが外れた。
共にベッド上で絡み合い、ルーネスは爪を立て噛みついて来た。
狂おしい程に唇と肌を重ね、共に喘ぎ、のたうち回る。
・・・火照る身体、滲み出る汗と涙。
心と身体が溶け合い、一つになった時、愛が生まれ、愛に溺れる。
─────このまま死んだとしても、悔いはない。
15/02/25 14:42更新 / 月ノ影